今回は、前回の「ロサンゼルス生活でのデメリット」の中で紹介させていただいた、「治安の悪さ」について、少し掘り下げてお話していきたいと思います。
実は、カリフォルニアは現在、カオス状態になっているということをみなさんご存知でしょうか?
それは、2014年に住民投票で可決された法案により、暴力性の無い$950以下(2023年10月時点では、約15万円)の窃盗は軽犯罪扱いとなりました。もう一度言います。住民投票によって可決された法案です。万一逮捕したとしても即日釈放が多く、店側もガードマン・セキュリティースタッフや店員に介入しないよう通達している為、万引き犯が野放し状態となっているのです。そのため、企業は閉店、撤退も相次いでいる状況です。
その理由として、
1. 警察は何もしない(できない)
警察を呼べば一応来てくれますが、警察が到着する頃にはもう万引き犯は逃げていなくなっていることがほとんどです。(万引き犯はものの数分で盗んで逃げていきます。)
そして、軽犯罪(misdemeanor)扱いなので現行犯逮捕のみが可能で、いちいち防犯カメラを見て犯人を捜査したり追跡したりはしないのです。
2. 留置所、または刑務所にスペースが無い
万引き犯を逮捕したとしても、軽犯罪扱いとなるため即日釈放されてしまいます。そんな中、一時的にでも犯罪者を留置所に移送したりするような人手もない上に、わざわざ万引きが起きた場所まで移動して犯罪者をパトカーに乗せ留置所まで移送するというコストも考えると、もっと重犯罪に人手もコストもかけなければならないと考えているようです。
3. お店側も止めない(止められない)
もちろん万引き犯を止める権利はあるのですが、口頭で「止めなさい」と伝えただけではほぼ100%止められません。無理やり取り押さえると、「暴力を振るわれた」だのなんだのと後々問題になることもあるのです。過去には止めようとした店員が窃盗犯に殺害される事件も起きているので、経営者側も店員やセキュリティースタッフに「万引き・窃盗を見ても何もするな」と言うしかないのです。
4. 保険が適用される
基本的には、損失となった被害額分は保険で賄えます。特に全国チェーンのような大手企業の場合は、2重、3重にも保険が掛けられていることも珍しくありません。お店の経営者からすると、損失分を補償してもらえただけでなく、保険適用によって利益が出てしまう場合もあるようです。
我々の感覚からすると、本当にあり得ない状況が起こってしまっているのです。
現状では、「万引きしないと損をする」構造になってしまっているのです。
独りで犯行に及ぶ者もいれば、グループで犯行に及ぶ者もいます。
グループの場合は、一人あたり$950以下なら軽犯罪扱いになってしまうので、狙われたお店側としては悲惨の二文字に尽きます・・・
みなさんは、こんな状況についてどう思われますか?