日本とアメリカの違い Part9(離婚編)

これまで、日本とアメリカの結婚に関する違いを取り上げてきましたが、「離婚」に対しても考え方が全く異なるので、こちらで紹介したいと思います。

 

1. 離婚手続きの違い

日本:夫婦が合意して離婚する場合には、簡易な手続きが取れる場合があります。ただし、離婚協議書の作成や裁判所への提出が必要です。
アメリカ:州によって離婚手続きが異なりますが、一般的には離婚申請書を提出し、裁判所の審理を経て正式に離婚が成立します。離婚の手続きは州法に基づき、子供や財産の分与、養育費の決定などが含まれます。


2. 養育費の取り決め

日本:離婚後に子供の養育費が決定される場合がありますが、金額や方法は法的に定められているわけではありません。

アメリカ:養育費は法的に規定されており、裁判所が親の収入や財産状況を考慮して決定します。

 

3. 財産分与の原則

日本:夫婦の財産は基本的には折半される原則が適用されます。

アメリカ:州によって異なりますが、一般的には『公正かつ公平な分与』の原則が適用され、財産の分与が行われます。

 

4. 文化的な影響

日本:離婚はまだタブー視されることがあり、社会的なプレッシャーや家族の期待が影響を与える場合があります。

アメリカ:離婚は比較的一般的であり、個人の幸福を追求する権利が尊重されます。

 

5. 子どもへの考え方

日本:離婚後は、どちらかの親が親権をもって子どもを育てることが多い。例え共同親権だったとしても、事実上どちらかの親が主に子どもを育てて、もう一方の親には会わせないなどの問題がある。

アメリカ:離婚する時に日本にはない「面会権」という法律があり、毎週末とか月に何回とか一緒に過ごす時間が定められます。例えば母親に親権があれば父親と過ごす(暮らす)時間が与えられます。
これは法で決められた義務でどちらかが勝手に破ることは出来ません。

 

※日本では、「子どものため」と言って、仮面夫婦として子どもの前で仲良さげに生活し、成人した後もしくは社会人になってから離婚するというような考え方が多い気がします。「子は鎹(かすがい)」とはよくいったものです。

一方アメリカでは、仮面夫婦のもとで長年暮らさせる子どもが可哀想」。だから、早くに離婚して、本当に幸せな夫婦のもとで暮らさせた方が子どもも幸せであるという考え方が多い気がします。

 

Point!

ハーグ条約とは、国境を超えて子どもが不法に連れ去られたり、あるいは不法に留め置かれた場合の子どもの返還手続や面会交流に関して定めているもの。国境を越えた子どもの連れ去りは、生活環境を急変させ、一方の親や親族と会えなくなるなど、子どもへの悪影響が生じかねません。これらの問題から子どもを守るため、日本は2014年にハーグ条約に加盟しました。これにより、一方の親の同意なく、国境を越えて16歳未満の子どもが連れ去られた場合は、双方の国が協力して元の居住地に戻す手続きが取られるようになりました。

 

離婚は、子どもがいる場合は夫婦間だけの問題ではなく家族全体の問題となるため、とてもエネルギーも時間も使います。その上、相手とうまく話し合いを進めなければ、どちらか一方がとても不利な条件で離婚をしなければならなくなってしまうということも少なくありません。

そのため、余計に費用などもかさんでしまいますが、離婚専門の弁護士に依頼して、相手と話し合う時間や離婚するまでの時間をなるべく最小限に抑えられるよう話し合いを進めていくことをお勧めします。